このたび、2015年5月に行った四国歩き遍路旅に続いて「小豆島八十八箇所お遍路の旅」へ出発することとなりました!
小豆島のお遍路は四国遍路を検討した方なら、一度は聞いたことがあると思います。四国ほど深いルーツはないものの、江戸時代から島民を中心に愛されてきた巡礼の一つ。
今回は、これから小豆島歩き遍路旅を行うにあたって「小豆島遍路の基礎・ルート・周辺のお店・宿泊場所」などを自分用にまとめてみたので、シェアしていこうと思います。
[aside type=”normal”]7泊8日の小豆島歩き遍路旅行を達成したので、実際に現地にいって経験したこと、聞いた話を盛り込んで編集しました。より参考にしていただけるかと思います。[/aside]
小豆島八十八箇所お遍路の基礎知識
歴史について
お遍路・巡礼と聞くと「四国八十八箇所遍路」を真っ先に思いつきますが、その他にも西国三十三所など歴史は異なるものの、巡礼を楽しめる場所は日本全国各地に存在します。
その中でも「小豆島八十八箇所遍路」は総工程が150km程度と四国遍路の10分の1程度しかないので、遍路前のウォーミングアップとして気軽に挑戦する人が多いです。
弘法大師が讃岐国と京を行き来する際に修行地として小豆島に訪れていたのがキッカケで、八十八箇所巡礼に訪れる人が増えた・・・という歴史があります。詳しくはWikipedia参照。
四国の修行地は、弘法大師自ら開創したという歴史があります。
その後、寺に順番を付けてパッケージし大衆化したのは「真念」と呼ばれる一般人ですが、少なくとも弘法大師が密接に関わってきたわけです。
一方小豆島の場合は決して弘法大師と密接した関係があったわけではなくて、どちらかというと島民の信仰心の高さから巡礼がたびたび行われ、定着していったんですよね。
▲小豆島で出会った貴重な団体遍路
最近、四国遍路に訪れる人は増えているといいます。主にパッケージツアーが普及したことが大きいんですが、実際に歩き遍路をしていても若者を見かける機会も多かったです。
一方、小豆島遍路は年々人が減っています。
1934年には『毎年数万人ノ参拝者』と当時の案内記に書かれていたようですが、実際に話を聞くと現在では年間2万人、実際にお遍路をすると歩き遍路が5人、ツアー客が2組しか見かけませんでした。
その代わり小豆島では昔から、姫路など特定の地域ごとに毎年集団でお参りをするという文化があって、リピート率が半端じゃなく高いとのことでした。
お年寄りが多いので、亡くなられていくごとに人が減る・・・という状況のようです。
小豆島遍路には「山岳霊場」が多い
小豆島は全体的に起伏が激しく、山岳霊場が多いため1日に何回もアップダウンを進んでいくことになります。
昔ながらの遍路道も残っていて、四国遍路では8割が舗装路でしたが、小豆島は半分が未舗装路なのでは?と思ってしまうほど。
山岳霊場は「洞窟霊場」とも呼ばれていて、どの場所も洞窟の中をくぐった場所に本堂があります。四国遍路よりお寺の建物としての立派さは欠けますが、神秘さは圧倒的に小豆島のほうが上です。
小豆島の霊場を7泊程度で一周しようとすると、必ず毎日未舗装の急勾配の道を通ることになります。これが思った以上にキツく、1日20km程度進んだだけでヘロヘロになってしまいます。
出発前に「小豆島遍路のほうがキツイ・・・」という話を聞いていて、四国より距離も短いのにそんなことってあるのか?と思っていましたが、実際に歩いてみて良くわかりました。キツイです。
全体の行程を見れば四国よりもよほど簡単ですが、かといって甘く見ていると痛い目に遭います^^; 出発前に気張る必要はありませんが、必要な道具は持っていきましょう。
小豆島遍路の納経制度・文化
▲小豆島遍路の納経帳。筆では書いてもらえず、判子のみが基本。
小豆島遍路でも、専用の納経帳を持ってお寺に行けば「御朱印」してもらうことができます。
ただ四国と違って全ての場所で押して貰えるのではなく、合計88箇所のうち30箇所のお寺で全ての箇所をまとめて御朱印してもらう形になります。
しかも!基本的に遍路の数が少ないので、必ずお寺に人が常駐しているわけではありません。そのため、自ら判子を押す「セルフ納経システム」を採用しているお寺も何ヶ所かありました。
▲家族経営のお寺は人が常駐するのが難しいので、セルフで納経する
小豆島遍路の場合は「お寺」だけでなく、それぞれ「山岳霊場」「堂・庵」と種類が分かれていて、特徴・性質が異なります。それぞれの簡単な特徴は以下のとおり。
- 寺・・・四国と同じ通常のお寺。お寺で全ての御朱印を授かる。
- 山岳霊場・・・本堂が洞窟状になっている霊場。必ずしも山の上にあるわけではない。
- 堂・庵・・・地元の人が管理する集会場の役目を果たしている。管理者はいない。
▲普段は人がいない堂だが、休日のため島民が集会を開いていた
寺・山岳霊場には基本的に関係者・住職が滞在していますが、堂・庵は休日など島民同士の集会がない限り、誰も人がいません。
完全に住宅地に溶け込んでいるので、サッとお参りしてサッと帰るのが基本となります。墓地の周辺にある場所ではお墓参りしている人を見かけますが、挨拶して帰るといいでしょう。
なお庵の中には「休憩場所」として個室が用意されている場所もいくつかあるので、迷惑をかけない形で宿泊することもできます。
実際に小豆島遍路を達成するための豆知識・ノウハウ
遍路ルート・お寺の位置と名称
参考:小豆島交通株式会社より引用
各札所の位置を見ると、山岳霊場だけあって広範囲に散らばっており、かつ内陸部まで歩かなければいけない箇所が多いのが見て取れます。
札所間の遍路道は急勾配の場所が多くて、中には鎖を掴みながら岩肌をロッククライミングするかのごとく進んでいく場所もあるので、単純な難易度だけでいえば四国より上なんです。
地図を眺めていると、なぜか進行方向に対し札所の順番がバラバラなのが見て取れます。そもそも位置的に、相当遠回りしなければ1番札所から回ることができません。
なぜこれほどバラバラにあちこち点在しているのか?それには、江戸時代の「廃仏毀釈運動」が関わっています。
想像してもらえればわかるとおり、当時の運動でいくつかのお寺が移動・廃寺を余儀なくされたんです。現在でも当時の番手がそのまま残っているため、不可解な並びのまま巡礼することになります。
一度四国遍路を経験しているものとしては、どうも順番どおりに回れないというのは非常に気持ち悪いです。四国の順番も特別な理由があって付けたわけではないので、どう回ろうと自由なんですけどね。
遍路道は一般道ではないので、GoogleMap等では確認できないようになっているんですが、各所のお寺で販売されている道案内が非常に役に立ちます。
これがあると札所間の距離、最短ルート、周辺のスーパー・コンビニや宿の位置まで表示してくれているので、道に迷うことがなくなります。
1000円で買えるので、ぜひ最初の段階で購入しておきましょう。
小豆島遍路に必要な持ち物
徒歩の旅だと、合計で6泊7日程度の旅になるのと、周辺にゲストハウス・ホテルが少ないため寝袋・テントを利用した「野宿旅」が基本となります。
四国遍路と違って距離があるわけではないので、気軽な装備で大丈夫ですが、最低限の衣服・食料は持っていく必要があります。また未舗装の遍路道が半分程度あるので、運動靴が必須。
参考までに、四国遍路で利用した道具の一覧を記載しておきます。これをベースに、必要なものをピックアップしていけばOKです。
▼四国遍路で利用した道具一覧
四国歩き遍路の旅に使用する、全道具・装備品のまとめ
小豆島遍路に必要な予算
長くとも10泊程度で達成できる小豆島遍路の場合、特に節約しなくとも少額の予算で達成することができます。
事前に必要なバックパック・寝袋・テントをあらかじめ用意している前提でいうと、3万円もあれば達成することが可能です。予算的にもかなり易しい旅といえます。
今回、旅にかかった予算を下記にまとめてみました。
内容 | 費用 |
---|---|
電車代 | 570円 |
フェリー | 4,580円 |
バス代 | 3,500円 |
タクシー代 | 980円 |
温泉代 | 2,100円 |
コインランドリー代 | 1,900円 |
飲料代 | 3,703円 |
食料代 | 8,976円 |
外食代 | 5,314円 |
宿泊代 | 4,770円 |
納経・遍路装備代 | 10,950円 |
合計 | 47,343円 |
全く節約を意識せずに飲食・宿泊を行ったので、7泊の旅にしては5万円と資金がかかってしまいました。
ただ2ヶ月間の四国遍路を12万円で達成したことを考えると、切り詰めれば3万円以下でも余裕で旅ができる計算になります。最低限必要なのはフェリーの交通費、それからお遍路装備代のみです。
食費・飲料費・外食費・宿泊費等はかなり節約可能なので、貧乏旅をしたい人にもおすすめできる旅ですね。
周辺のショップ・コンビニ・道の駅まとめ
▲島内でも貴重なコンビニ。なぜかセブンイレブンのみ。
小豆島には、基本的にコンビニやスーパーといった補給所が少ないです。お店が集中する南部にはそれなりに揃っていますが、北部には商店以外何もありません。
移動時間の遅い徒歩の場合、あらかじめ数日分の食料を買っておくか、小豆島内で発達している「オリーブバス」を駆使して夕方にキャンプ地に戻るか、どちらか選ぶといいです。
小豆島内で最も発達している土庄町にはスーパー・温泉・コインランドリー等生活に必要な施設が全て徒歩圏内に収まっているので、ここを起点にして回ると快適に旅ができます。
▲小豆島内を縦横無尽に走る「オリーブバス」。
小豆島内の遍路道は、基本的にバス沿線上にあるためどこからでも土庄町に帰ることができます。本数はどの線も1時間に1本もないため、あらかじめ時間を把握して移動するといいです。
最大片道300円で移動できるので、特に遠い場所から帰る際にはお得になります。1日1000円で乗り放題パスもありますが、そもそも本数が少ないためおすすめはできません。
バスを使うと一気に難易度が低くなるため、修行気分で訪れる人にはおすすめできませんが、四国前の肩慣らしとか簡単なハイキング気分で訪れる場合はかなり便利に使えます。
▲小豆島内では貴重なスーパー「マルナカ」。四国に多い。
島内では3箇所に「マルナカ・マルヨシスーパー」があって、チェーン店のため安く物資を買い揃えることができます。
20時には弁当が半額になるセールもやっているので、自炊しない場合は貴重な食料確保場所になるでしょう。
しかも、土庄周辺にある2店舗にはイートインコーナーが設置されており、土庄町店には無料で飲めるお茶なども用意されているため、雨の日にくつろぐには最適です。周辺に温泉・コインランドリーもあります。
▲道の駅小豆島オリーブ公園。過去野宿した旅人も多い。
道の駅も2箇所あるので、途中での食料補給や野宿でも利用できます。
[aside type=”normal”]必ず野宿禁止でないか確認して、可能なら店員さんに許可を取っておくとトラブルが起きずに済みます。[/aside]
小豆島内の宿泊施設
小豆島内の宿泊場所についてですが、リゾートホテルは多数存在するものの、お遍路さんが利用できるような安価な宿ってかなり少ないんです。
素泊まり利用で5千円以下の予算で探したところ、以下の旅館・ゲストハウスがヒットしました。
全行程を野宿で行わない場合は、これらを利用するのがいいと思われます。小豆島内にまともに電子機器を充電できそうな場所がないのと、万が一雨で停滞せざるを得ない場合に使うのも良いですね。
場所 | 名前 | 住所 |
---|---|---|
3番観音寺近隣 | 漁家民宿ゲンザ ゲストハウス | 香川県小豆郡小豆島町坂手甲416 |
32番愛染寺近隣 | 国民宿舎小豆島 | 香川県小豆郡小豆島町池田1500−4 |
62番大乗殿近隣 | 旭屋旅館 | 香川県小豆郡 土庄町甲6190-6 |
62番大乗殿近隣 | 喜久屋旅館 | 香川県小豆郡土庄町甲5978−16 |
81番恵門ノ瀧近隣 | かつや旅館 | 香川県小豆郡土庄町小部甲293-4 |
途中、大雨が降ったので滞在できる施設がなく、「国民宿舎」に格安で宿泊させてもらいました。
今回は他に部屋が開いておらず、特別料金でファミリーロッジに一人で宿泊させてもらったので、参考にはなりませんが・・・少なくとも非常に快適に泊まることができました。
せっかく小豆島に訪れたのなら、野宿だけでなくこのような施設に泊まることをおすすめします。どの場所も景観が素敵なので泊まりがいがあります。
おわりに
というわけで、以上実際に訪れた経験も踏まえて、「小豆島八十八箇所遍路」についてまとめてみました。
四国遍路と比べても、一部厳しい場所もあるものの非常に簡単に達成することができるので、なかなか挑戦しづらい、また長期休暇が取れない人にもお手軽遍路としてぜひおすすめできる巡礼地でした。
小豆島自体が魅力的な場所なので、リフレッシュ目的で訪れるのもかなりおすすめですね。どの場所も、景観が綺麗なところばかりでした。
それでは!ぜひ出発してみてくださいね!