日本を代表する巡礼地は色々とありますが、「四国八十八ヶ所巡礼」が最も有名ですよね!毎年多くの人が四国へと訪れ、その数は20万人にのぼると言われています。
最近は宗教的な意味合いよりも「過酷な自分への挑戦」「観光・気分転換」の意味で始める人も多く、一般的な旅行と比べてもかなりのリフレッシュになるので、若者の姿も増えてきました。
今回は、20歳のときに徒歩・野宿という手段で四国八十八ヶ所巡礼を達成した自身が、お遍路の基礎知識と必要な道具、交通手段・必要予算について徹底解説していきます!
四国八十八ヶ所とは?基礎知識と歴史について
四国八十八ヶ所巡礼は、弘法大師(空海)が開創した合計八十八ヶ所のお寺を回る修行の旅のことを言います。四国全域に寺院が散らばっていて、実質的に四国一周をする形になります。
巡礼が盛んであった江戸時代には、宗教的意味合いや懺悔の気持ちを込めて遍路を行っていた人が多いようです。過酷な旅であったため、道中で亡くなることも珍しくありませんでした。
現在では一種のアクティビティのようになっていますが、環境整備がなされる明治・昭和までは現世での犯罪や病気に侵された人が来世利益や供養の意味で巡礼を行っていたようです。
▲四国遍路のお経を唱える様子を撮影。毎日移動と参拝を何度も繰り返します。
四国遍路の順路・距離について
出典:http://www.88shikokuhenro.jp/map.html
四国遍路の舞台である各寺院(札所)には番号が付いていて、道順に沿って進めば全ての寺院を参拝できます。寺院の順番は後から定められたものなので、自分の回りたいように回ってOK!
全ての札所を回ると、合計の距離は1,200kmを超えます。昔ながらの遍路道(未舗装路)も大量に残されているので、単純にアクティビティとしても過酷な一方で非常に楽しいのも事実!
四国八十八ヶ所以外に「番外」とされる二十箇所の札所を回ることもでき、全ての巡礼を終えた結願後に「高野山」への巡礼を持って終了という言い伝えから、結願後に高野山へ向かう人が多いです。
▲寺院間の距離と勾配を表した資料。アップダウンが激しく非常に過酷。
一番から八十八番まで順番に回る方法を「順打ち」と呼び、逆から回ることを「逆打ち」と呼びます。順打ちの場合は案内板があるので迷うことはありませんが、逆打ちだと少し難易度が上がります。
かつて弘法大師のあとを追って遍路を何周をしていた「衛門三郎」という人物が、うるう年にようやく会えたという言い伝えから「うるう年に逆打ちをすると利益が4倍になる」という決まりもあります。
四国遍路達成までにはそれなりの予算と莫大な時間が必要になるので、決して簡単ではありませんが、自分の人生にとって非常に良い区切りになるので、興味を持ったらぜひ挑戦してみてほしいです。
四国遍路で代表的な3つの交通手段と必要予算
お遍路では定番だが過酷な「徒歩」
- 必要予算目安:8万円〜30万円(野宿前提で行動する場合)
- 必要日数目安:30日〜60日程度
- 難易度:★★★★★
四国八十八ヶ所巡礼といえば、「歩き遍路」が定番!環境整備で難易度が下がっているとはいえ、合計1,200kmもの距離を歩き通すのは大変であり、巡礼を通して自分と向き合うことができます。
最近では交通網の整備で気軽に遍路を楽しめるようになっていますが、本当の意味で巡礼を行うなら歩き遍路をおすすめします。一定の体力は必要ですが、慣れれば問題ありません。
毎年5千人程度の人が徒歩で巡礼を行っていて、なかには80代前後の高齢の方が20kgのバックパックを背負って回っていたのだから驚きです!他にも、本気で巡礼を楽しむ外国人にも多く出会えます。
歩き遍路で八十八ヶ所を回るためには最低1ヶ月程度は必要で、その間の宿や食事を確保しなければならないため、昔は「贅沢遍路」などと呼ばれていました。
しかし、自分のように野宿+自炊を駆使すれば各種装備を含めて10万円以下で達成することも可能であり、工夫さえすれば自家用車・ツアーバスを利用するよりよほど安く済ませられます。
ただし徒歩の場合はどうしてもまとまった時間が必要になるので、退職等のタイミングで挑戦するのが基本になります。自分は歩き遍路を通して、本当にやりたいことを発見することができました。
▼歩き遍路の基礎知識と必要予算・道具・野宿方法などノウハウはこちら!
歩き遍路の基礎知識と必要な道具・ノウハウ全まとめ
気軽にお遍路体験ができて分割にも便利な「自家用車」
- 必要予算目安:10万円〜30万円(車中泊前提で行動する場合)
- 必要日数目安:10日〜20日程度
- 難易度:★★☆☆☆
最近は山奥にある寺院でも駐車場や舗装路の整備が進んでいるため、自家用車でも気軽にお遍路を体験することができるようになりました!
あらゆる交通手段のなかで最も気軽に挑戦でき、合計で10日間もあれば八十八ヶ所回ることができます。車中泊・自炊を駆使すれば、それほど予算も必要ありません。
「とりあえず気軽に挑戦したい」という人におすすめ。まずは車で挑戦してみて、退職後・定年後などまとまった時間が取れるタイミングで歩き遍路に挑戦するのもアリかと。
高齢者の利用が最も多い「ツアーバス」
- 必要予算目安:30万円〜50万円(プランによって異なる)
- 必要日数目安:10日〜20日程度
- 難易度:★☆☆☆☆
最近の四国遍路は「ツアーバス」を利用した巡礼が主流になっています!お遍路を行っている人は毎年20万人いると言われていますが、大半がツアー利用によるものです。
各交通会社などが定期的に募集を行っていて、プランによって必要日数や宿泊する宿が大きく異なり、本人の都合や予算に合わせて自由に選べるようになっています。
大抵の場合は専属ガイド(先達)による案内が付いていて、寺院までバス移動→お経を唱える→納経→移動を繰り返すことになります。
歩き遍路をしていて何十回・何百回と巡礼を行うツアーバスの人たちとすれ違いましたが、ツアーを利用する人の大半は高齢者で、若い人は全くといっていいほど見かけませんでした。
自分で行き先も選べないし、最も簡単に回れるので「スタンプツアー」と揶揄されることもありますが、体が不自由な方でも気軽に巡礼できるのが最大のメリットですね。
巡礼・修行というよりは観光ツアーに近いですが、どうしても巡礼したいが時間・金銭的余裕がない、体力がなくて無理・・・という人はツアーバスの利用がおすすめです。
おわりに
というわけで、今回は20歳のときに経験した「四国八十八ヶ所遍路の基礎知識・歴史・順路と距離・移動手段」について解説してみました!
毎年巡礼を行う高齢の方に加え、最近は若い人でもお遍路に興味を持つ人が増えてきました。宗教的な知識がなくとも単純にリフレッシュして自分を見つめ直すいい機会になります。
最近ではコンビニやネット回線など環境も整備され、誰でも比較的簡単に挑戦できるようになりました。分割して回ってもよいので、ぜひ興味を持ったら挑戦してみてください!