古代から皇帝から庶民まで信仰の対象として崇められている「熊野三山」と、険しい参拝道が世界遺産となった「熊野古道」。世界的に見ても非常に珍しく、外国人の姿も良く見られる。
日本一周で紀伊半島を通ったときから「ずっと行きたいな」と思ってたんですが、今回は四国歩き遍路のときと同様にテント&寝袋を持って野宿をしながら挑戦することに!
熊野古道には複数のルートがあるんですが、今回は最もポピュラーなルートで参拝客も多く、古道を進みながら熊野三山を参拝できる「中辺路」ルートを通ることにしたので日記を残しておきます!
自宅を出発!特急くろしおを利用してJR紀伊田辺駅へ
熊野古道・中辺路を攻略するにあたって、ツルツル滑る石畳やゴロタ道を進む必要がある・・・という情報を事前に得ていたので、登山靴・杖など必要な道具を一通り購入しておきました。
今回挑戦する中辺路はそれほど難易度が高くないそうで、四国遍路に比べれば楽だと思うのですが、今後はどんどん登山に挑戦したいので色々と購入してしまいました。
四国遍路でも使用していた「GREGORY ZULU40」に「mont-bell ステラリッジテント1型」「mont-bell ダウンハガー800」など必要な道具を詰め込んで、いざ出発! 合計の重量は15kgほど。
まずは自宅のある兵庫県から、熊野古道・中辺路の出発点である「紀伊田辺駅」まで移動します!安く移動するなら高速バス移動が一番ですが、予約が取れなかったので電車移動することに。
普通列車でもたどり着けますが、大阪からだと5時間も掛かってしまうので特急列車の「特急くろしお」を利用することに。
新大阪からだと乗車券と特急券を合わせて「5,270円」で移動できます。バスだと3,000円ぐらいで移動できますが、予約が取れなかったので基本的には特急を利用するといいかと。
特急くろしおが来た!この時点で数人、自分と同じ大きなバックパックを背負った方が。こちらも熊野古道参りでもするのかな・・・?
特急くろしおで2時間ほど揺られ、JR紀伊田辺駅へ到着!2年前に日本一周で通ったときにはもう少し古い駅舎のイメージだったのですが、新しくなったのかな?かなりオシャレになっていました。
紀伊田辺駅から出発地点の「滝尻王子」という場所までは、バスを使うのが一般的らしい。というわけで、特急を降りて駅の目の前にある2番バス停乗り場から、龍神バスに乗車。
さすが熊野古道、田辺駅には数組の外国人バックパッカーが集まっていました。熊野古道は海外の人に人気のスポットになっているっぽいですね。
なお田辺駅周辺にコンビニは少なく、かつ乗り換えの時間が15分程度と限られているので要注意!バックパックを置いて走ったら、ギリギリ間に合うかも。
30分ほどバスに揺られ、中辺路出発地点の滝尻エリアに到着!同じく熊野古道巡礼をすると思われる人が10人ほど降りてきましたが、自分以外全員外国人の方でした^^;
バス停から降りると目の前に「熊野古道館」があって、熊野古道に関する各種資料・展示物を見ることができます。事前知識を習得できるので、時間があったら寄っていきましょう!
他にも案内地図・資料のほか、各場所に設置してあるスタンプを押してゴールすることで踏破証がもらえる「スタンプ帳」も置いています!気になる人は必ずもらっていくこと。
自分はその後の予定の関係でさっさと進みたいので、10分ほどぶらっとして早速熊野古道へと移動することに。
熊野古道・中辺路の出発点である「滝尻王子」を通過
熊野古道館からまっすぐ進むと、熊野古道の入り口である「滝尻王子」へと到着します。小さい神社があって、境内を通り抜けるといよいよ古道へ。
定番の巡礼道である中辺路には、一定の間隔ごとに「王子社」と呼ばれる熊野権現の御子神を祀る小さな神社が複数存在していて、数が非常に多いことから「九十九王子」とも呼ばれています。
昔、皇族・貴族が巡礼する際には熊野三山はもちろんですが、九十九王子へも参拝することを目的に回っていたらしい。王子社ごとにスタンプが設置してあって、全て押すと「踏破証」がもらえます。
出発地点にある滝尻王子に参拝して、いざ熊野古道へ!左側の道を通っていくと入り口が現れます。
滝尻王子から少し登ったところにある「胎内くぐり」。女性が通ると安産するという言い伝えがあるらしい。ただ石のすき間が狭すぎて、バックパックを背負った状態での通り抜けは不可。(笑)
中辺路自体はそれほどアップダウンがないようですが、滝尻王子から出発してしばらくは強烈な登り坂があるのでキツイ!昨日までほとんど体を動かしてなかったので、すでに全身がバキバキに・・・。
滝尻王子から出発して30分ほど進んだ位置に、次なる王子の「不寝王子」を発見。しかし、まだ登り坂は続く・・・。
少し進むと道が平坦になって、ずいぶんと歩きやすくなりました。一緒に持ってきていた熊野古道解説書によると、これ以降はしばらく強烈な坂がないということで一安心。
展望台と次なる目的地の「高原熊野神社」への分岐。
そういえば途中パトカーのものと思われるサイレンが近くで鳴って、何度か警察官っぽい人が山中を捜索していたんですが、あれは一体なんだったのだろう・・・。
分岐から少し進んでの下り道。熊野古道・中辺路は四国遍路と同様か、それ以上に道が整備されていて歩きやすい!
短い距離だけど、再び心臓破りの階段。15kgのバックパックを背負っての階段はなかなか堪えますなぁ。
階段を登ったところで、いきなり舗装路に出た。集落があって、いくつかの民家では民泊を営んでいるところも。コンビニなどの施設はないが、宿泊施設には意外にもあまり困らないようです。
オシャレな看板。
4月中旬だと言うのに、ほぼ満開状態の山桜。地元ではもう葉桜になってしまっていたので、満開の桜を眺められて嬉しい〜。
集落を進んでいるうちに、次なる目的地の「高原熊野神社」へ到着!小さい神社ですが、中辺路にある現存する建物のなかでは、最も古いらしい。
周辺に旧旅籠屋が集う「霧の里高原」の休憩所へ
さらにもう少し舗装路を進むと、休憩所と補給所をかねた「高原霧の里」へと到着!トイレと自動販売機を置いていて、おまんじゅうのようなものも売っていました。
ここから先、しばらくは補給所がないので、もし手元の物資があるなら調達しておきましょう。
展望台からは周辺にある果無山脈を遠望できます。ちょっと休んでいこうかと思ったものの、自分が考えていたより時間を食ってしまっていたのでサッサと移動することに。
次なる目的地を目指すため、再び民家の間を塗って舗装路をすすむ。
舗装はされているが、しばらく急な狭い道を進んでいきます。この周辺には昔旅籠を営んでいた民家が数多くあるようで、今も人が住んでいます。
どう考えてもバイク・自動車が進めるような道ではないんですが、この辺に住んでいる人は毎日この激坂を往復しているのだろうか・・・?
しばらく急坂を登っていくと、非常にオシャレな喫茶店の「欅」を発見!まさかこんな場所でお店を営んでいるとは。裏には可愛いポニーもいました。
ちょうどテラス席からは果無山脈が一望できて最高のひとときを過ごせそうですが、オープンしてなかったので素通りすることに。
集落の最後の民家には「じぞうど」と呼ばれる旅籠?があって、350円で購入できるエネルギーバーのようなものも置いてくれていました。これはありがたい。
じぞうどを遠すぎると、再び本格的な登山道に入ります。
登山道の周辺には、立派なケルン(積み石)が大量に。芸術的な積み方をしているものも・・・。
登山道の途中には、謎の建造物と休憩所を発見。トイレも設置されているようですが、残念ながら使えなくなっていました。
登山道の方向を示している石積み。他にも顔文字のような積み方をしているものもあったんですが、このユーモアは良くも悪くも日本人の仕業ではないはずw
しばらく登り坂を進んでいると、「大門王子跡」に到着。このあたりはアップダウンを繰り返すときもあるものの、ほぼ平坦に近いので歩きやすいー。
大門王子跡からそれほど遠くない位置に「十丈王子跡」も発見。石碑は説明板の奥のほうにありました。
登山道をしばらく歩いた位置にあるので、かなり山奥なはずなんですが昔はこの周辺に数軒の民家があったらしい。
この時点で15時半を過ぎていたんですが、この先にある17時まで営業の道の駅で補給をしようと考えていたので若干焦りつつ、再び次の目的地へ。
道の駅熊野古道中辺路へ無事に到着!テント泊して明日へ備える
十丈王子跡からは少し登り坂が続いて、その先には小判を咥えながらなくなったという「小判地蔵」の姿が。
登り坂から打って変わって、今後は崖のような下り坂を進んでいきます。普通の運動靴だと、状況によっては滑って危険かも。
このあたりはすごく雰囲気も良く、ちょうど夕日が差していて幻想的な光景に。ただ道の駅の閉店時刻が迫っているので、少し焦りながらすすみます。
「やっと舗装路に出た!道の駅まではこの舗装路を進めばOK!」と思っていたんですが、どうやら道の駅へ続く道はちょうど真下を走っているらしく、まさかの地図を見間違えていたことが判明。
この時点で時刻は17時前、もうすぐ道の駅は閉まってしまう時間なので諦めることに。今日明日はかなりひもじい食料で過ごすことになりそう・・・。
舗装路を渡ってすぐ再び熊野古道への入り口があるので、階段を降りていく。
少し滑りそうになりながら、急な下り坂を降りてゆき・・・。
下り坂の最終地点にある「大阪本王子」に到着!段々と日が暮れそうな雰囲気になってきたので、急いで本日の宿(テントを張れる場所)を探すことに。
少し登山道を進んでいると、段々と車の往来が多い道路が目前まで接近してきた。そういえば道の駅は大通りのそばにあったような気がするので、もしかするとこの先でつながっているのでは?
熊野古道の案内本にも普通に道の駅の存在について記載されているので、通れないということはないはず。と思ってしばらく進んでいると、段々と道の駅らしき施設が見えてきた!
というわけで、17時半頃に「熊野古道中辺路」に到着!しかも売店が開いているようなので、店員さんに聞いてみると「まだやっているよ」とのこと。
これはラッキーすぎる!残念ながら弁当の類はありませんでしたが、お菓子が複数種類置いていたので明日用のパンと合わせて購入。
本当はもう少し進もうと思っていたんですが、もうすぐ日が暮れそうなのでこちらを宿にすることに。店員にテントを張っていいか聞くと、「聞かなかったことにする(責任は持てないが黙認)」と。
日本一周で日本中の道の駅を回りましたが、どこも責任は取れないが見逃す・・・というケースが多いのでありがたく野宿をさせてもらってます。というわけで、本日は暗くなってからテントを張って終了。
今日は出発時間が遅かった関係で全然進めておらず、まだ中辺路のゴール地点まで4/1程度しか進めていません。体中がバキバキだけど、頑張って歩くぜ!
熊野古道2日目の日記は「【熊野古道】険しい古道を進み、30km先の熊野本宮大社を目指す!【2日目・大阪本王子〜熊野本宮大社】」をチェック!