突如始まる焼き肉パーティー
明日から雨が降るらしいので、できるだけ進んでおきたい。
自分はサバイバルをしたいので、無料のキャンプ場へ。
miwaクル氏は2日かけて、興部町にある道の駅にいきたいとのこと。
SLの電車のなかで、無料で宿泊できる施設があるのだ。
海岸沿いの道を2人で走る。
岬周辺の道は、アップダウンが激しくてきつい。坂そのものも長い。
2人してハァーハァー息を切らしながら進む。
オホーツク海!実際に見て、肌で感じるのは人生初。
少し、憧れのアラスカに近づいた気分。
風が冷たい。日本海と潮の臭いが全然違う。
坂を上ると、一気に北海道らしい景色が現れる。
それにしても、この辺りの道は知床みたいに自然が豊富だな。熊が出そう。
宗谷を越えても、まだまだ面白いスポットがあるかと思うとワクワクするね。
坂を越え、やっとの思いで道の駅さるふつへと到着!
昨日泊まるか悩んだ場所だ。猿払村という最北端の村内に存在する道の駅。
すでに疲れたので、2人して椅子に座って休憩する。
すると、なぜかたくさんの人に声をかけてもらう。
福島から来たという人と話していると、なんと生肉を差し入れてくれた!
「これ、ここで焼いちゃいましょっか。笑」という悪ノリの末・・・。
道の駅でお店を開いて、突如BBQ開始w
なにこの怪しすぎる人間たち。降り注ぐ好奇と軽蔑の視線。
真っ昼間から道の駅施設の目の前でBBQとかワロタ。
肉がうますぎる・・・。
走るためには、体の基礎となる肉を摂取しなければ。
ごちそうさまです!
「どう考えてもおかしい光景でしょw」
さて、ここで血迷った俺氏はある行動に出る。
ジャジャーン!本格BBQ開始。
「ここまでやるなら・・・」とキャベツを千切りにし炒める。
さらに同時にもらったトマトを輪切りにして、マヨネーズ。
これぞぉ!超高級食パンサンドだぁ!
こんなもん、うまいに決まってる。
案の定、積み過ぎて一部の食材こぼしちゃったけど。ごめんなさい。
これで、一気に体力回復!本当にごちそうさまでしたっ!!!
余剰作物の活用をしてみた
BBQでワイワイやっていたので、時間は15時に。
miwaクル氏は雨のことを考えて、この辺りで停滞してしまうという。
自分は昨日から猿払村へ興味を持っていたので、村内を回ってみることに。
牛さん。
昨日宗谷岬で買った「鹿笛」を使ったら、たくさん寄ってきた!
音色に魅せられたというよりは、ただ音に近づいてきた感じ。
しばらく村を回ったあと、畑で農作業をしているおばあちゃんを発見。
これはチャンス!とばかりに声をかけてみる。
「なにしてるんですかー?」
「はえ?」
「いや、なんかしてはるんですか?」
「へ?」
遠くからだと会話が成立しねぇ・・・ってことで近づいて声をかけてみる。
どうやら、畑で取ったニラの間引きをしていたようだ。趣味で畑をやっているらしい。
おばあちゃん、色々家庭の事情があって、お孫さんと暮らしているとのこと。
そのお孫さんはなんと、道の駅さるふつで働かれているらしい。なんと!
おばあちゃんの畑。ほとんどが雑草に覆われているので、作物が作れないとのこと。
昨日の記事でも紹介したとおり、猿払村は過去に経済的などん底を経験しつつ、
ホタテ漁で復活し、周辺の街のなかでも富裕な村である。豪邸もちらほら。
ただ話を聞くと、それでも若者は外部へ流出していくらしい。
仕事も少ないそう。あってもホタテか、酪農か・・・といったところだという。
おばあちゃんが間引きしているニラを見つめて、「捨てるならください」というと、
「余るほどあるから、持っていきんしゃい!」という。
ありがたや!!!”余剰作物の個人活用”の成功だぁ!
大量にいただきました。ニラの活用法って難しい。
個人で畑をやっていると、必然的に作物が余ってしまう。
利用方法がないからだ。売るわけでもなし、精々家族や友人に配る程度。
貰ってばかりでは悪いので、おばあちゃんの農作業を手伝う。
今日は、じゃがいもの苗周辺に生えている雑草を取り除く作業。
こういった作業は大好きなので、喜んでお手伝いしますよ!
大量の雑草を2人で取り除いていく。
まちおこしとか地方創生って、とてつもなく難しいのではと思う。
まず地域を知らなければならないけど、知るためには最低でも1年は移住しなければ、
必要なことは見えてこないだろう。ニーズさえわからない。
そもそも、自分は最初から地域活性化をしたいわけではない。
こうやって地域の人たちと話をして、余剰作物をいただくこと。農作業を手伝うこと。
最初から、何かできるわけではない。何もできない。
だからこそ、まずソーシャルインパクトを求めず利己的に、自分ごととして進める。
そうやって活動を進めていくうち、大きな進展がありそうだ。その確信はある。
おばあちゃんの「もう暗くなってきたからやめにしよう!」という言葉で作業は終了。
ほとんどできてない気がするけど・・・雑草取りは大変。
ただ無心になって、作業に没頭できるのがいいところ。
「ばいばい!」とおばあちゃんに挨拶をして、再び道の駅さるふつへ。
もう暗くなりだして、ここで寝てしまうことに。
さて、明日は土砂降りの雨でなければ、無料キャンプ場へ行こうか。
サバイバルをするために。
旅は続く。
怒涛の雨
昨日は、道の駅さるふつにて宿泊。
村のおばあちゃんの畑を手伝い、そのまま道の駅へ。
そういえば、今日から雨が降るらしい。さて、どうなることやら・・・。
うわ!普通に雨が降ってる。
それも早朝は土砂降りの如く雨が降っており、東屋の下なのにビチョビチョ。
なかなか乾かない靴まで濡れちまったよ!なんでやねん・・・。
雨なので、防水・防塵・耐衝撃ケースに身を包んだiPhone6で全ての写真撮影をします。
ちゃんとしたケースってすごく高いよね・・・。
そこそこ綺麗に撮影できるけど、iPhoneを持った瞬間に構図が適当になるw
昨日はカバンが半開きの状態で寝てしまっていたので、中まで濡れてる。
まさか東屋の下で濡れるとは思ってなかった・・・。
全てのことに注意を払わなければ、自己責任として全て自分に返ってくる。
「ああ、寒い寒い・・・」
とよほど震えていたのか、立て続けにカイロとコーヒーをいただく。
これは嬉しい!ありがとうございます。
ただこの場所にいると、物品ラッシュがくる。ダメだ、居心地悪い。
受け取り下手ではあるけど、貰うばかりではどうも気持ちが悪い。
ありがたいけど、どこか耐えられないのだ。ということで、さっさと撤収。
荷物をまとめたはいいけど、さてどこに行こうかしら。
ひとまずの目標は、この先にある枝幸町の無料キャンプ場。
そこでサバイバルをする。ただすでに雨が降ってしまっているので、厳しそうだ。
周囲のおっちゃんらと話していると、お昼頃には多少マシになるらしい。
よしそれだ!としばし待機。
Twitterを見ていると、こんな情報が流れていた。
よねすけ氏と別れ 我はさきを行く!! うぉぉぉぉぉぉ!!!とチャリを漕ぐ事10分 パーキングシェルターを発見 24時間解放 冷水機トイレ? まるでビジネスホテル 今夜から雨だしここで停滞 朝早かったからか眠い眠い pic.twitter.com/iHU4IAf2YU
— miwaクル@自転車日本一周旅 (@miwakru) 2015, 6月 21
昨日も一緒に走って、道の駅で別れたmiwaクル氏。
なんとこの先に素晴らしいスポットがあるという。しかもコンセント付き!
当分充電できるスポットはない。これは行かないと!
お昼頃まで時間を潰して、レッツゴー!
今日の目標である枝幸町までは、60km程度。
そこまで食品を補給できる場所がないので、近くのセイコマへ。
本当にどこにでもあるよね、セイコマは高いけど緊急時に助かる。
雨のなか、レインコートを着て疾走する。
歩いて楽しむ雨はよいけど、自転車の場合はよろしくないことばかり。
さっさと目的地に着いてしまおう。
本日の第一目的地はここ。
猿払パーキングシェルターという場所。チャリダーの間では有名らしい。
さてさて、中に入るぞ。
あれ?miwaクル氏の自転車がない。先に行ったのかな?
中にいた!しかもチャリごと搬入。めっちゃ寛いでおられます。
こちらも失敬して、コンセントで電子機器を充電。ありがたい。
満充電されるまでの間、しばしマッタリしてく。
ここで、充電しながら家計簿の移行作業。
以前使用していたzaimから、money forwordに移行することにした。
詳細まで分析したいのだが、zaimでは項目ごとの割合が表示されないのだ。
随分と時間がかかって、出発は15時前に。
miwaクル氏は寝袋で爆睡していたので、そそくさと退散する。
いいな。羨ましい。とはいえ、これからワクワクすることが待っているのだ。
いざ!雨中の北海道を走りまわろう。
惨めだ
さきほどのパークから、今日の目的地までは50km程度。
雨なので走行距離が落ちる分時間はかかるが、大した距離ではない。
あまり体力を消耗したくないので、ゆっくり走る。
雨が降り注ぐなか、ペダルを踏んで前へ進む。
今日も向かい風が吹いている。一体追い風はいつ吹くのだろうか。
靴に水が浸透し始める。気持ち悪い。
地平線の彼方まで、草原が広がっている。
雨は雨の楽しみかたがあるが、雨中の自転車走行は苦行でしかないだろう。
道具が濡れる。顔も濡れる。進まない。不快指数120%。
牛さん。君たちも雨のなか放置されて、大変だね。
気にならないのかい。むしろ体が洗浄されて、気持ちいいのか。
鹿笛も鳴らしても、見向きもせず。なんかごめん。
海だ!と本来は興奮するところだけど、海辺は障害物がない分風が強烈になる。
どこに喜ぶ要素があろうか。ただ雨風を耐えしのぎながら進むだけだ。
風車がブンブン回っている。現在は風速6mらしい。そのエネルギーを分けてくれないか。
海沿いの直線道を、向かい風と雨を全身に受けつつ進む。
雨だから当然レインコートを着ているわけだけど、空気抵抗が大きくなってしまう。
その分、余計に進まない。いつもと同じ運動量でも、半分程度しか進まない。
なんて理不尽なんだ!外部要因にあたってみたって、何も変化しやしない。
なんだこれ。本当に進まない。自転車ごと置いていっていいかしら・・・。
最近カルシウムをあまり摂取してないからか知らないけど、どうもイラチなのである。
自然様に何を行っても、人如きが何かできるわけでもないんだけれど。
精々、エンジンや屋根を付けられるくらいだろうか。
わかっていても、あたらなければ気が済まない。
「この糞野郎!」と叫んでも、誰も聞いてくれない。先へ進むしかない。
目的がなければ、雨の日は停滞するのが一番賢い選択肢だ。
体も道具も濡れない。不快にならない。体も冷えない。
それでも走りたい・先に行きたい理由があるから、走っているのだけど。
1cmでも、1mmでも先へ・・・。
あまりにも寒いので、冬用の防水グローブを装着する。
これでやっと、快適になるくらい。もうすぐ7月だぜ。どんだけ寒いのよ。
突如現れた「オホーツク北トンネル」を通過する。
全長1km、北から走行すると、ちょうど上り勾配になる。
トンネル内で上りとか、自転車コロス気か!歩道もまともにないし・・・。
トンネルを抜けて、ようやく枝幸町に到着。
本日の目的地である町だ。ここに無料キャンプ場がある。
雨のなか走ったから、体が冷えている。早く寝床へ行かないと・・・。
キャンプ場には東屋はないはずだ。
であれば、他の施設を見つかるしかあるまい。
かといって、周辺に宿泊できそうな施設はない。どうしたもんか。。。
と思っていた矢先、ちょうどいい場所を発見!
「神威岬公園」。水道も東屋もある。景色も良さそうだ。
今夜はここに決めた!とここにテントを張ることに。
とにかく寒い!晴れたら気持ちがいいだろうなぁ。
すぐ傍に、「神威岬」が見える。
今日はここに泊まる。
「水さえあればどこでも泊まれる」という気軽さがたまらない!
私たちは地球上で生きている。
あまりにも寒い・・・ので、テント内でコーヒーを沸かした。
外で飲むコーヒーは美味しい。家で飲むよりも、よほどね。
ちょっと落ち着いてきた。
自転車や徒歩での日本一周は、いわば修行のようなものだ。
お金さえ払えば、「時間」を購入することができる現代。
いざという時にはたくさん逃げ道があるが、節約しようと思うと苦汁を味わうことになる。
私たちは、間違いなく自然界のなかで「人間界」を築いている。
都市を築き、インフラを整備した。自身で食料を得ずとも、生存できるようになった。
そうして生活するうち、「人間こそが神だ」と勘違いする。考える必要すらない。
ある日突然、都市の下で眠っていた怪獣が牙を剥く。悲鳴が聞こえる。
確かに、車で旅をすれば快適である。だけど持続可能ではない。
ガソリンや電気があるからこそ走行できる。水が出るから生存できる。
それも、たった一つの天災で機能しなくなる。仮面で覆い尽くされている事実が露呈する。
サバイバルスキルが必要だとか、謙虚に生きろと言いたいわけではない。
ただ、心のどこかで「私たちは地球上に生きている」ことを、常に感じておきたい。
昨日、道の駅で「福島で暮らしていたけど、何もかも流された」という夫婦に出会った。
どれだけ堅牢なシェルターを築こうと、いつどこで何が起きるかわからない。
自分たちの意思とは反対に、残酷なまでに破壊の限りを尽くすことがあるということ。
一方で、涙を流させるほどに神秘的な素顔を見せることもあること。
「もうダメだ」と思ったとき、手を差し伸べてくれる人がこの世に存在すること。
豪雨の中パンク修理して諦めかけていたら、女性に助けられて救われた話。 | リアルマインクラフトの旅
一番印象的だったのは、2人がそうやって過去を語りながらも笑顔だったこと。
どれだけ壮絶な過去だったかは知るよしもないけど、家を流されながらも人生を楽しんでいた。
楽しむも苦しむも、自分次第なんだろうな。
雨と向かい風のなかを走行して、ただただ辛いだけだと思っていたけど。
1日を振り返ってみると、今日も案外幸せだったな。明日があるからかな。
さて、もう一杯だけコーヒーを沸かして、寝ることにしよう。
旅は続く。
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